春は別れの季節とはよく言ったものだ

こないだの日曜日は、三天才アンソロを発行してから丸1年の記念日でした。

頒布は完売のためすでに終了していたので、あとはその日を待ちながら「どう企画を畳むか」というところで頭を悩ませていました。
まぁ、スッパリ消すかしばらく放置するかの2択しかないんだけどね。

それで、下した結論ですが……「未練と余韻に目いっぱい浸る」ことにしました。

学校の卒業式でもそうですが、いざ別れるその日にたくさん涙しても、翌日の新しい生活に気持ちを切り換えることなんて早々できないと思うんです。
1日の半分以上をクラスメイトと過ごし、時には学校以外の場所でも会いながら、ただ純粋に友情を育んでいたはず。
私たち大人が忘れてしまうほど短い物理的および体感的時間の中で、大人以上に濃密な人間関係を築いた彼ら彼女らが「卒業式」という一つの区切り程度できっぱり別れるなんて、とても難しい。
ましてやその学校生活を「楽しい」と感じていればなおさら、友人との離別は何倍にも悲しくて苦しいものでしょう。

私の学生時代にそんな記憶はほとんどありません。
けれど、アンソロ企画を終えると宣言した今、参加してくださった方々に対して感じる離れがたさは、もしや学校の卒業式と似た感覚なのでは、と考えるのです。
誰ひとり顔を見たことはありませんが、たしかに仲間意識のような感情が芽生えていました。
「1冊の本を作る」という目標のために、全員が同じ方向を向いて作業した日々は、ある意味で卒業へ向かう学生のそれでした。
それは、楽しみを見出せなかった学生生活を取り戻すための儀式だったかも知れませんが。

卒業した学生の今後は、新しい生活に身を移し、周囲を取り巻く環境の変化に揉まれながらどうにか順応して、少しずつ過去を懐かしむ頻度を減らしていきます。
私もそんな学生と同じように、今はまだ心に残る未練と付き合いながら、徐々に前を向こうと思います。
寂しいけれど、今生の別れではないので、またどこかで会えるかも知れないし。
そしてそんな日が来たら、どこかのカフェなり食事処なりで飲み食いしながら「楽しい企画だったね」と思い出話に花を咲かせられたらいいと思います。

改めまして企画に参加してくださった方、発行した本を手に取ってくださった方、最高の1年6ヶ月をありがとうございました!
そして当サイトに足を運んでくださっている方も、作品を読んでいただいたり、拍手してくださったり、また感想まで送ってくださり、本当に励みになります。
波のあるペースではありますが、お時間の許すかぎり今後ともお付き合いいただけると幸いです。