日曜日、生まれて初めてプロのライブを観に行きました。
恥ずかしながら、プロの演奏に触れたことが一度もありませんでした。
フェスにも馴染みがなければ近づきすらせず、ずっと自分と同じ立場の演奏ばかり聴いていました。
もちろん、アマチュアでもプロ並みに上手い人はたくさんいます。
何なら実際にプロの太鼓判をもらった人も知っています。
でも音楽を生業としている人の演奏に触れたことがないのもまた事実で。
今回は好きなアーティストさんが出演されているということもあり、思い切って友人と2人で行ってきました。
車でゆったりドライブしながら向かい、途中でアクシデントに見舞われながら現地に到着。
出番まで時間があるからと、ちょっとだけ周辺を食べ歩いたりなんかして。
でも結局、時間を見間違えた私たちは大慌てでステージへ走る羽目に。
無事開演には間に合いました。
どんな風に登場するのかとそわそわしていたら、客席からの歓声を皮切りに颯爽と位置につかれました。
ちょっとこなれた感じでもうかっこいい。
早々にチューニングを終えると、登場の余韻に浸ることなく演奏が始まりました。
CDやスマホでずっと聴いていたサウンドがそこに在りました。
むしろそれ以上の厚みと迫力が全身を揺さぶってきたのです。
誰に促されたでもなく、ひとりでに踊り出すお客さん。
初めてなはずの私も身体を揺らさずにはいられませんでした。
ハンズアップの場所も、歓声を上げる場所も同じ。
ひとつになっていたんです。
ステージと会場が。
そう思った瞬間、胸の蓋が吹っ飛ぶ感覚がしました。
吹き上がる衝動は涙になって、気付く頃にはボロボロと泣いていました。
このときそのバンドが演奏していた楽曲はバラードでじゃないんです。
どちらかというとフェス向きのテンポいいものでした。
でも涙が止まらなかったんですよね。
1曲目が終わればすぐさま2曲目、3曲目……
余韻に浸る間すら与えてくれません。
MCもバンドの準備中に少し話す程度で、内容はとりとめのないものです。
それすら彼らグループの色を窺い知れる素敵な時間でした。
絶妙に脱力を覚えるようなフランクさにグッと引き込まれていったのです。
そうして帰るまでの1時間は比喩でもなくあっという間でした。
体感20分です。
こんなにも濃密な時間を過ごしたのは、恐らく初めてです。
そしてその1時間の間に、胸の蓋は3回も外れました。
お涙頂戴系とはほど遠いバンドに、まさか3度も泣かされるとは思いもしませんでした。
打ち上げに入った居酒屋では友人とずっと「ヤバい」しか言えないくらいに語彙も溶かして。
で、最初に涙を流したときに気付いたんです。
「私、このバンドのファンだったんだ」って。
これは持論なんですが「好き」と「ファン」は別だと思っているんです。
掻い摘まんででしか曲を知らないこのバンドのことは、私の中では「好き」止まりだとずっと思っていました。
「ファン」と公言するにはまだ知らないことが多いので。
でもあの日曜日に生演奏を聴いて、知識量は「ファン」の定義に当てはまらないと気付きました。
私はバンドのファンだと思い知らされたのです。
何度も張り手を食らわされたかのような衝撃でした。
友人はどうやら気付いていたようですが。
自分のことなのに、私だけ気付いてなかったのには驚きです。
そんな壮絶なパラダイムシフトを体験した、貴重な日曜日でした。
で、どんなバンドを観に行ったのか気になりません?
代表曲を少しご紹介するので、お時間があればぜひ聴いてみてください。
童心を強く残した大人の鮮やかなおもちゃ箱を覗き見るような、そんなワクワクを一緒に感じてくれると嬉しいです。