明月を喰らう - 1/5

 ヘルカイザー。
 地下より生まれし――怪物。

 料理するために用意した羊の皮を剥ぐと、中身は腹を空かせた獰猛な獅子だった。

 飢えを自覚した獅子は眼前の対者えものに向かって飛びかかると、無心に勝利えさを貪った。

 獅子は無数の食べ滓に塗れた口を歪めてこう言った。

「まだこの渇き・・を満たすには足りない」と。

 獅子を呼んだ男はほくそ笑んだ。