【亮→吹雪】
吹雪に精霊――まるで想像できないな。
これは俺の想像の話でしかないが、仮に吹雪に精霊が見えたとしよう。それが万丈目のオジャマ・イエローのようにある程度意思疎通が図れる存在なら、碌なことにはならないだろうな。
ただでさえ面倒毎を持ち込む質だ。その精霊に唆されて悪化する可能性がある。
これが俺や藤原だけならまだ許容できるが、不特定多数の人間を巻き込むとなると話が変わるだろう? そういった問題を回避するためにも、精霊は見えない方がいい。
だがいつか見える日が来るかも知れない。万丈目がいい例だな。
そうなった場合は十代か、万丈目か、ヨハンか――
どれも業界が交わらない。望み薄だな。だが藤原は学生だし。
となると俺がその力を得なければならないのか。場所はどこだ? どうすれば手に入る?
――――
――
ん? ああ、すまない。
さてどこまで話したんだったか。ああそうか。
つまり吹雪には精霊が見えなくてよかったと思う。
だがもし見えるようになったときは、俺もその力を得て奴の野望を食い止めなければならないだろうな。同じ力を使えば、説得も多少は楽になるだろう。
あいつの悪巧みは、最早災害だからな。
――フッ。
いやすまない。ただの思い出し笑いだ。
――ん? もうこんな時間か。
悪いが、今日はこれまでだ。俺から話せることはもうないだろう。俺よりも藤原の方がずっと詳しい。
なに? 見えなくても感じれるだと?
サイバー・エンドの心が見えないのか?
いや、それは誤解だ。
俺は精霊など見えないし、存在を感知することもできない。
サイバー・エンドは――幼少から過酷な環境で修行した成果に過ぎん。便宜的にその表現を用いているだけで、実際に見えている訳ではないからな。
これ以上この話題について俺から語れることはないだろう。
さあ、今日の面会は終わりだ。