【吹雪→藤原】
彼の傍にいる精霊、オネストっていうんだって? 一度ダークネスについて調べてたときに見たことがあるけど中々大きかったねぇ。十代くんや万丈目くんもあんな風に見えてるのかな?
僕としては、藤原に精霊が見えててよかったと思うよ。オネストは、藤原にとって家族も同然だっていうじゃないか! 大切な存在は多い方がいいからね。
それに顔を合わせた時間は短かったが、オネストも藤原のことを大切に想ってた。まるで恋い焦がれた思い人――あるいは我が子を想う母親のような――
とても美しい絆を見たよ。
藤原の境遇はあまりいいものじゃなかったみたいだからね。どれだけ天才と持て囃されても、愛がなければ満たされないのさ。
そう言う意味では、僕や亮の存在はとてもちっぽけだった。彼はとても優しいから、そんなことはないと言ってくれるだろう。
でも――藤原が許しても、僕が許さない。あんな悲劇を招いてしまったんだから、許せる訳がない。だからこそ、オネストには心から感謝しているんだ。
彼のお陰で、僕は藤原を思い出せたし、藤原を助け出すことができた。
僕はもうすぐ卒業してしまうけど、それまでの間に、開いてしまった時間と心の隙間を埋めたいと思うよ。そのときは亮も一緒に、ね。
学年はバラバラなのに、こうしてまた同じ島で生活できる日が来るなんて思ってもみなかったなぁ。まぁ亮の場合は、翔くんが卒業するまでの一時入院に過ぎないんだけどね。
どんな話をしようかなぁ。この間は亮がヘルカイザーになった頃の話をしたし――あ、オネストについて藤原に話してもらうなんて最高じゃないか!
決めた! 次の話題は精霊だね! 見え方とか、どんな風に会話するのかとか。後はオネストはどんな精霊か聞くのも面白そうだね!
ねえ、君もそうは思わないかい?
ん? 話がすり替わってる?
あれぇ? おかしいな。オネストについてじゃなかったかい?
――ああ、そっちか。
なら答えは簡単さ!
藤原に精霊の姿が見えるのは、とても幸せなことだと思うよ。