ようやく部屋が静かになり、アマデウスは再びサリエリの寝室へ足を踏み入れる。そこにはお産を手伝うよう頼んだ男が床に座り、産卵を終えたサリエリは自身の体液に塗れたまま気をやっていた。
「ありがとう、助かったよ」
礼を言う。そしてシャワーを使ったらこのまま出て行くよう伝え、早々に部屋から追い出した。
ふたりきりになった部屋。この時のためにと持ち込んだタオルで彼の身体を拭いながらアマデウスは微笑む。
目が覚めたらきっと、自分を捨てないでほしいなんてことを言うんだろうね。清潔で神経質な顔を涙でぐしゃぐしゃにして、ある筈のない罪を悔いて許しを請うだろう。
でもごめんね。身に覚えのない罪は許しようがないのさ。全く非がないのに、どうやって糾弾すればいいのか寧ろ教えてほしい位だよ。
未だ気を失ったままの愛しい同居人の頭を撫で、静かに目が覚めるのを待つ。
今月の産卵は終わった。次からは例の男も立ち会うことになっている。
それを知ったとき、彼はどんな表情を見せてくれるのだろうか。
アマデウスの楽しみは尽きない。