暴虐的リスペクト

 勝利の代わりに血を寄越せと言われたから心臓を差し出してやった。
 奴は一息に持ち去るのではなく、少しずつ吸い上げるように俺の鼓動を弱めていった。
 デッキと命を鎖で繋がれた俺は、全身に走る苦痛に耐えながらカードを引き続ける。
 戦傷の痛みと臓器の苦しみとがない交ぜになって叫び出しそうになりながらも、その手を止めるという選択肢を棄て続けた。
 勝利と引き換えに得たものは、デュエルディスクに残った山札いのちの残量。
 それでも、喉を枯らす飢えは満たされない。
 きっとまだ足りないのだろう。
 否、わかっている。この行為が無意味なことくらい。
 それでも止まらない。
 止められない。
 ブレーキの壊れた闘争心は、それ以上の力と正面衝突でもしない限り走り続ける。
 手綱が握れなかったわけじゃない。俺が思う以上に俺自身の力がなくなっていただけ。

 勝利の代わりに血を寄越せと言われたから心臓を差し出してやった。
 それが、俺が奴にできる義の貫き方だと思っていたから。
 奴は、喰うだけ喰ってから「活きが悪い」と責め立てた。