拒絶 ※R18

 内臓が直接揺さぶられる様な衝撃を覚え、視界は一瞬ホワイトアウトした。
 耳障りな叫び声が引っ切り無しに聞こえる。しかしそれが誰のものなのか判らない。断続的に響き私の鼓膜を突き刺す。
 同時に喉が痛くて堪らない。じわじわと焼け付く様に酷くなっているのだが、一体何故なのか判らない。私の体内を這い回る奴の肉棒の所為だろうか。リズミカルに突き上げてくる衝撃が苦しくて、息は吐けても吸う事がとても難しい。
 もうやめてくれ、後生だから。
 そう何度も訴えている筈なのだが果たして奴には伝わっているのだろうか。否きっと伝わっていないだろう。伝わっているならとっくに止まっている筈だから。それとも、奴の事だ。私の訴えを聞いた上で敢えて無視しているのか。きっとそうだ。お前はいつもそうだ!
 一向に纏まらない頭に苛立ち、しかしそろそろ考えることを放棄しようとした矢先、ひときわ強烈な衝撃が体内を駆け抜け、私は意図せず弓なりにしならせた。そして、痙攣。遂には息を吐くことすら叶わなくなっていよいよ酸欠状態に陥った。
 それからの記憶は、ない。

 どれだけの時が流れたのか。重い瞼を持ち上げると、そこに奴の姿はなかった。酷使された身体は変わらず怠いままだったが汚れた形跡がない。誰かが清めてくれたのだろうか。のそり、と僅かな布擦れの音を響かせ上体を起こす。
 その時だった。下腹部がひくりと震えたと思えば何かがせり上がってくる感覚がして、私は思わず生唾を飲んだ。
 しかし嘔吐感にもにたそれは私のささやか抵抗など意に介さず容赦なく駆け上ってくる。外へ吐き出す醜態は晒すまいと手で口元を覆ったが時すでに遅し。それは鮮やかな紅(あか)を纏って零れ落ちてしまった。
 喉がひり付く。それが食道を逆流すればするほど酷くなり、まるで昨晩の情事の様――否もっと酷い痛みに襲われた。
 これ以上シーツを汚す訳にはいかないと奮闘する私の想いに反し、身体は異物を吐き出さんと痙攣する。横隔膜が震え湿った咳と共に何度も排出された。
 いよいよ上体を支えるのが苦しくなってきた。しかしこのままベッドに沈んでしまえば吐瀉物に溺れ窒息してしまう。誰かが来るまで何とか持ち堪えなければと踏ん張るも、情けないかな自分が吐き出したものに支えていた手が取られ呆気なく落ちてしまった。
 それから再び起き上がるのは至難の業だ。私はいつ止まるとも知れない汚物に塗れながら再び意識の水底にゆっくりと沈んでいった。